防音室の石膏ボードの上に、石膏ボードを重ねると約5ｄＢほど遮音性能が向上すると答える専門業者が居ますが、それは概ね間違いです。
同じ材質の石膏ボードを重ねても低音と高音域の遮音性能はほとんど向上しません。上記の回答は周波数帯ごとの特性を無視していると言えます。
では、概ね同じ面密度の遮音ゴムマットを1重張り付けるとどのように変化するでしょうか。上記の専門業者の理論（質量則）を適用すると、全体的に5ｄＢ遮音性能が上がるということになりますが、それは全く違います。
下図の周波数帯ごとの実測値を見ると、石膏ボードの弱点である低音と高音域が大幅に向上するだけでなく、他の周波数帯も5ｄＢよりも大きく向上しています。
＊相乗効果と弱点の補正効果（コインシデンスの改善など）が出ています。
このように特性の異なる複数の素材を重ねると、防音材との相乗効果が質量則を大幅に超える現象が起きます。これが木造防音室における薄型防音構造の基本です。
＊質量則のみで音響・防音設計を行う業者には永遠に理解できない世界です。
